天声人語2月25日を読んで(ローマ字論)

天声人語でまたローマ字問題について語っている。

このひとの特徴は隠れヘボン式論者だということだ。

その特徴は最初に引用している大西雅雄というひとの人選にも表れている。

このひとは、標準式ローマ字(ヘボン式)を広めていたひとで、当時の文脈からすれば、どちらかというと国内では抑え込まれていたヘボン式こそが”国際的”ということとして読まなければならないだろう。日本音声学会の理事長ということだが、戦後の音声学は英語教育の分野で発達したと聞く。そうすると、むしろ米国寄りの立場をとるのは当然といえよう。しかし、不思議なのは、71年前も今と同じく例えば"machida"と書けば”マシダ”になってしまったのではないだろうか?

音声学的にこのつづりを当時の米国人が日本語に近い発音をしたのだろうか?

また、天声人語氏はパスポートローマ字ともいうべき”oh"はどう思っているのだろう。確かに”オータニ”というのは正しく読んでいるが、"ohita"ってかいて”オーいた”って読んでくれると思いますかね。広く用いられているというならば、この野球ローマ字、パスポートローマ字も広く用いられていますがこれも広く用いられているので採用なのか?

ということでヘボン式に決めたとしても今度はヘボン式の正式な記述方法というパンドラの箱をあけるような話になると思います。

ちなみに天声人語氏は自分の天声人語ヘボン式ローマ字で書いてみてネットに挙げてみるとどうでしょう。きっといろいろなひとがいろいろなことをいって、これじゃあヘボン式を簡単には採用できないなあ、と思うのでは。

要はヘボン式は英語の単語として書くにはまだしも、それだけで長い文章を書くようなロールまで決まっているかというと、全く決まってないのでは。

その点日本式のローマ字はいろいろと出していて、最近でも雑誌を出しているひとがいました。記述方法としては安定していると思われます。

最後の方でローマ字入力のことを書いていますが、それをいいだすと拗音の記載なども話題に出てくるのでやめたほうがいいんじゃないですかね。じゃについて書いてますがバス式ローマ字と小生が呼んでいたのですが、”jya”と書く人もいるようですから。ちなみに自分でうってみるとこれも変換されたので、結構広く使われているのかもしれません。

ということで朝日新聞は妙にヘボン式ローマ字が採用されそうなのがうれしくてしょうがないようです。あまり深い考えもないようですが。繰り返しますが学校で習うローマ字は(漢字やひらがなと同様)日本語を書く手段の一つであって、英語を書くときに単語を書くためのものではないので、その辺の誤解もないようにしてほしいものです。

文化庁の調査もどうかというところもあり、今の状況でどっちがいいかといえば、道路標識や駅名で慣れているヘボン式、と答えるひとが多いのは当然ですが、どっちにしろ日常生活ではローマ字表記の日本語は使わない、というひとがほとんどだとすれば、なんというか、正書法をきちんと定めたうえで小学校などでは教えてほしいものです。

上に書いたもっと大きな問題は、まさにこの”は”でヘボン式でも "wa”と書きます。

PCなどのローマ字ひらがな変換とは全然違うのですが、これも"ha”と書くようになったりしないか、とても不安です。