賃金は景気より先に上がるのか?

植田総裁というひとが、”賃金が上昇すれば金融緩和をやめる”ということをいっているらしい。しかしよくわからないが、賃金の上昇は結果であって、金融緩和は日銀がコントロールしているところだ。中央政府が何かしらの景気政策を行うときに賃金上昇から入れるものなんだろうか(資本主義社会で)。非常に単純に言えば、やはりモノがそれなりのお値段になって、それが売れて利益を確保できれば賃金も上がる、ということなのかと思っていた。しかし、最初に賃金を上げるという。そうなると、賃金の上昇分を物価に乗せる。もし、日本が社会主義国でとにかく全部のものに賃金上昇分をのせて売れるのであれば、それは可能かもしれない、しかし、実際は中小企業は大企業に納入価格を抑えられている。そうなってくると、最初に大企業が賃金を上げて、大企業の利益が確保できると納入価格も上がって中小も利益を確保できるようになるという、懐かしのトリクル理論というやつですかね。しかし、10年くらい前にトリクル理論でさんざんトヨタ自動車などにテコ入れしたアベノミクスの成果は中小に及んだのでしょうか。トヨタ自動車がトリクル理論で日本の中小の納入業者の仕切り価格を上げたなどという話はあまり聞かなかったように思います。トヨタの景気が良くなって輸出が増えて、中小は忙しくなって、ボリュームが増えたので売り上げは増えているのかもしれませんが、利益は上がらないという構造かと。また、政治学者の方が、民主党政権では海外に行くと物価が安いので良かったというようなひとがいるのはバカもの的な言い方をしているようですが、なぞですな。確かに海外の物価をいってもしょうがないかもしれませんが、国内の物価も、日本は食料、原材料など輸入は多いですから当然物価が下がるまたは原材料輸入品のメーカーの原価は下がるし、輸送費もガソリンなどは安くなるので下がる。そうすると、そういった会社の賃金は挙げる機運になってくる。そうなると、購買力が上がって景気がよくなる。景気が良くなりすぎるとインフレが起きるので、金融を引き締めて少し現金を減らす、という流れなのかと思ってました。

びっくりするのはその人のツイートに、一般庶民は円安のほうが輸出が増えていい、と書いているひとがいたことで、輸出する一般庶民というのはどうもよくわかりませんでした。一般庶民は国内での消費者ではないかなあと思うのですが、、、

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(12月27日追記)

日銀 植田総裁 単独インタビュー 金融政策の転換は? | NHK | 日本銀行(日銀)

こちらのインタビューを読むと、最後の結果としての賃金上昇をみて判断する、ということのようだ。まあそれならわからなくもないのだが、一方では春闘の結果だけ見て、中小がどうなるかは完全に結果を見ないで状況で判断のようなことをいっている。

結局は春闘である程度賃金情報の結果であれば、金融引き締めに誘導するということなのだろう。逆に言うとさすがに円安が過ぎているので、金融引き締めのトリガーとして、岸田さんなどが一生懸命やっている経団連傘下の会社の賃金が上昇するという、きわめて政策的な結果で金融引き締めを行うと。そのように理解した。なんだか経済学者といっても、自由主義ではなく計画経済のような感じですなあ、、、ここまでいくと。

まあもともとのアベノミクスもそんな感じだったから。黒田さんはポパーの研究者だったので、社会主義的なものは嫌いだったのでしょうけど植田さんはあまり違和感なくそういう方向に行く人ということなのか。