朝日新聞論壇時評(6月29日)

朝日新聞の論壇時評は宇野氏に代わってから前の某氏に比べて大きく良くなった。

しかし、今月はいまいちという感じだ。

「人権小国」日本を問い直す視座 意図的に作り出される無知とは:朝日新聞デジタル

まず、オバマ大統領が”ドローン大統領”と呼ばれている、という論説を引くが、聞いたこともなかった。確かにオバマ大統領はドローン攻撃を承認したことは確かだし、多用したことも確かだ。例えばニューヨークタイムズの以下の記事などを読むと、それは理解できる。

Obama's Embrace of Drone Strikes Will Be a Lasting Legacy - NYTimes.com

しかし、ここでも”ドローン大統領”なる呼ばれ方は書かれていない。googleで検索してもあまりそのような文言は日本語、英語ともでてこないのだが。繰り返すがオバマ大統領がドローン攻撃をしたことはたしかだ。記事にもブッシュが50回なのにオバマ500回というようなことが書いてある。それは認めるとして、それをニックネームとまでいうのは根拠が不明だ。そういうニックネームが存在すること、例えば上で小生はニューヨークタイムズを引いたが、攻撃を受けた側のニックネームとしてはありうるかもしれないとも思う。知るべきことはニックネームではなくて、ドローン攻撃で殺害された市民がいたことではないのか?そしてそれがどういった地域なのかなど。小生は宇野氏が引いている世界の論説は読んでいないが、何か宇野氏の紹介を読むと、欧米のロシア非難を相対化するための道具として使っているだけのように見える。ドローン攻撃で殺される人たちに対する敬意はあった論説だったのか不明だ。

また、LGBTQ理解促進法についてだが、ここでも性同一か性自認か、というところを書いている。しかし、問題の大きいところはここではなくて、それこそ学校などで反対する人がいると教えられなくなる法律であることだ。進んで無知でいたい、いさせたい、というひとによって、ある立場の人々は”ないこと”にされかねない。そこが問題ではないでしょうか。なんだか滑っているような感じだ。

関係ないがテレビを見ているとニュースでなんとかの専門家といって出てくる学者にはいろいろな人がいて、こういった分野の専門家ってどういう学問をするひとなんだろうと思うことが多い。宇野大先生の論壇時評の下に何人かの学者?たちが今月の目についた論説を挙げている。この中の中牧というひとは、専門を経済・教育と書いているが、このひとは書いている本の内容などを自分が所属する学会で発表したりしているのだろうか?学会で発表しなくても大学で教えられるのだろうか?それは批判を受けないことを意味するし、学者といえども全知全能ではないわけで、論文を発表して同分野の人たちから批判を受けることはまさに学者という職業を選ぶ人が自分が無知を埋めていく作業なのだと思う。現代思想の6月号は読まなかったのだが、ぜひとも読んでみたいと思います。