富士通英国法人のポストオフィスホライズンシステム問題

1月19日荻上チキ氏のラジオでこの問題を取り上げていた。

しかし、朝日新聞藤原氏もだが、ちょっとずれているような印象だ。

この問題を小生が本で読んだのはずいぶん昔だが、確か富士通の名前は出ていなかった。今回の報道では富士通の名前が随分と出てきて驚いている。

藤原氏は当然読んでいると思うが、BBCが報じているように、英国の富士通といっているのは、実態はもともとのICLという政府が主導して作ったコンピュータメーカーだったはずだ。経営が行き詰まり富士通が経営権を取得したらしいが、実際は政府がある程度発注するので利益を回収できると踏んだ、投資だったのではないのだろうか。おそらくは、富士通のいうことなどは、英国政府御用達企業として、プライドが高くて聞かなかったことだろう。富士通をみるのか英国政府をみるのか、といったらもう100%英国政府を見て仕事をする会社。また、政府ももともとは赤字の会社を引き受けさせた手前、発注は続けないとまずいというところだろう。

もちろん現在の世界でそのような言い方が許されないのは当然なのだが、ICLという会社の性格と富士通が買収した経緯をラジオなどで語らないと、少し富士通にはひどい感じのものいいであったと感じた。繰り返すがふたりともBBCのニュースのストーリーなどを読んでいればこれは知っていたはずだが。

小生が翻訳された本でこの事件のことを知ったのはもう10年くらい前のでことだろうか?そもそもがバグを疑わず訴訟を起こしたのは英国のポストオフィスや検察である。証拠が不十分であったのにこのようなことをしたことの責任は大きい。当然テストの責任も英国のポストオフィスにあるわけだ。繰り返すが英国富士通がシステムの開発をする以上品質は確かなものを納入しないといけない。しかし、バグがあったのにそれを利用者側の責任したのはポストオフィスの責任である。なんだか政府もひたすら日本の富士通を悪者にして、なんとか対面を保ちたいと考えているのではないだろうか。

もうこれは富士通という民間企業の問題ではなく、日本政府がきちんと対応しないと、日本企業の海外への進出に大きな遺恨を残すし、妙なイメージがついてしまうこともよくない。日本の中では富士通のこれまでの国内の問題をあげて、英国でもか、みたいなことを言う人もいるようだが、実務的にはあまり関係のない会社でガバナンスの問題、というところなのではないだろうか。小生にはむしろ東芝の米国原子力発電開発会社WH問題と同じで、海外子会社の中には日本の親会社など軽く見ている経営者もいるという感じがする。そういした経営者をいかに変えて、日本のガバナンスに従うようにするのかが、日本企業には求められているのだろう、投資目的での資本参加といってもガバナンスをきちんとやっていないと問題が起こった時には海外投資家などには通じないのでしょうね。それにはグローバルスタンダードなガバナンスを取り入れて、日本の経営者が海外の経営者にちゃんと示せないと、なんだか遅れたアジアの国が進んだ俺様達にガバナンスだってさ、というような雰囲気を払しょくできないだろう。

それにしても、そもそもの買収自体経済産業省なども絡んでいたのではないのかな?そうでないと、手が出ないような会社だったのではないかと思いますが。

いくら赤字になっても、NTTデータが外国資本にはいったらまずいという感じがあると思いますけど、それに似たレベルの話じゃないかと思うのですが。