いまだに円安が日本にはいいというひともいるようだ。
ググってみるとアベノミクス早期にこのような論考を参議院のページにあった
「円安で景気は回復するのか?」(in経済のプリズム No111 2013.4)
https://www.sangiin.go.jp/japanese/annai/chousa/keizai_prism/backnumber/h25pdf/201311101.pdf
へーっていう感じだ。当然のことが書いてあるような気がするし、こういうことが2013年にはまだ言えたのだろう。NHKのクローズアップ現代でもこういったことをいっていたように思う。
ところがそのあと安倍政権が長期化することで?円安のメリットなど言われなくなった。それは株価の上昇などもあったのかもしれないが、とにかく、円高がいいなどということをいうと袋叩きになりそうな雰囲気であった。
しかし、単純に考えれば円高であれば輸入品は安くなる。そのため、食料品、衣類など海外からの生活物資は安くなるし、企業にとっても原材料は安くなる。また、海外からの労働力も集めやすいだろう。
円安になれば、輸出企業は出荷が伸びるかもしれない。しかし原材料の輸入は値上がりだし、海外からの労働者は集めにくくなるだろう。また、輸入品があがることでエネルギーや運賃があがるはずだ。そのためコストもあがり、結局輸出品が伸びても国内の一般人にはいろいろなものが高くなったという感じしか残らないはずだ。海外からの旅行客が増えてお金も気軽に使ってくれるだろう。
しかし、アベノミクス時代、なぜか食料品などは値上がりしていてもそれがあまり報道されなくなった。これはなぞだ。また、デパートはその前からの苦境をインバウンドのいわゆる爆買いによって支えられていたから、海外からの客がお金を使わなくなるような状況は避けたいところだったのだろう。デパートが相手にする富裕層は円安で輸入品が高くなればむしろそのほうがありがたがって買ってくれるひとたちかもしれない。
ということで、円安がいいとされたのはテレビなどの影響が大きかったのだと思う。ただ、小学校でも習う、日本は原材料や食料品は輸入して、原材料を安い労働力で加工して海外に輸出することでもうかる、というメカニズムはなぜあまりいわれなくなったのか。やはりインバウンド消費という新たなファクターが生まれたからなのだろうか?しかしその恩恵はどれだけの人が受けられるのだろう。例えば国産のネクタイなどはもうなくなっている。輸入品が主だ。また、よくいわれるように、iphoneなどを買いあさられてしまうのも割安だが、iphoneが売れても国内の産業ももうけは限定的だ。もちろん限定的といっても結構いろいろな企業が部品を輸出していうるのでそれは円安でメリットがあるのかもであるが。しかし、最終的な製品の価格は為替変動で上がっているので、一般人には上がっているというだけの印象だ。
ということでもしかしたら安倍氏がなくなって、ようやく円安についてデメリットも語れるようになってきたのだろうか?すでにジョブ型雇用などと言い出すくらい企業は疲弊して、手遅れという感じもあるが